建築家だからここまでできた!
間取りの計画は住まいづくりの醍醐味の1つ。新しい住まいでの新しい暮らしを想像しながら間取りを考えるのは、誰にとっても楽しいものです。しかし、計画に当たっては、「現在の理想間取り」だけではなく、将来的な家族構成やライフスタイルの変化を見越しておくことも大切です。
現代の住宅に求められる間取りとは?
かつての日本の住宅では、四角いスペースを均等に区切った、いわゆる「田の字型プラン」が主流でした。しかしその後、人々のライフスタイルは変化し、現在ではこうした田の字型のプランは好まれなくなっています。間取りの自由度が低いうえ、都市部の狭小地などでは、限られたスペースを均等に分割した田の字型プランはどこか狭苦しい印象を与えてしまうためです。
こうしたなか、近年人気を集めているのは、「ひとつながりの大きな空間を必要に応じて間仕切る」というスタイルの間取り。寝室やトイレ、浴室など、家族といえども見られたくない、または湿気や臭いを外に出したくない部屋はしっかりと壁で間仕切り、LDKなど家族が集まる空間には間仕切りをつくらずオープンにする、というものです。
間取りは部屋単位で考えるのではなく、家族構成やライフスタイル、そのスペースの機能やプライバシーなどを考慮しながら、それに応じて間仕切っていくことが、現代の住宅の間取りではとても重要だと言えるでしょう
。
-
「可変性のある間取り」のススメ
オープンなLDKは魅力的ではありますが、例えば「来客時にはリビングとダイニングを仕切りたい」といった要望もあることでしょう。また子ども部屋の扱いも悩みどころの1つ。子どもが0歳~小学校低学年くらいまでの間であれば子ども部屋が必要とされることも少ないのですが、小学校高学年以降になるとなかなかそうもいきません。
そこでオススメしたいのが、「可変性」を持たせたプラン。LDKであればリビングとダイニングの間に開閉できる引き戸を設けて、必要に応じて間仕切るという方法があります。子ども部屋であれば、子どもが小さいうちは、LDKの一角に畳やラグなどを敷いて子どものためのスペースをつくり、成長に応じて引戸などで間仕切る、といった方法があります。これなら、子どもがさらに成長して独立したとしても、間仕切りをオープンにすれば再び大きなスペースとして使うことができます。 -
可変性がもたらすさまざまなメリット
このように、家族構成やライフスタイルの変化に対応できる住まいの「可変性」は、その家に長く、快適に住むためにはとても大切な考え方と言えるでしょう。また、可変性があるということは、その家の資産価値にも貢献するといえます。仮にその家を売却することになったとしても、前述したような「田の字型プラン」よりも自由度が高く、間仕切り壁が少ないほうが住まい手を限定せず、リフォームにも柔軟に対応できるため、買い手が見つかりやすくなるはずです。
-
建て売り住宅にはない魅力!
一般的に、建て売り住宅の間取りは「●LDKタイプ」のようにパターン化されたものがほとんど。またこうした住宅は、なるべく多くの人のニーズにマッチするよう、どうしても無難な間取りになりがちです。
長期間に渡って日々の暮らしを楽しむなら、やはり建築家との家づくりがオススメ。現在のライフスタイルに合わせた間取りはもちろん、将来を見越した可変性のある間取りを提案してくれるでしょう。
例えば前述したように空間を引戸で間仕切る場合、間仕切りとして使える引き戸には、一般的な大きさのものから「スライディングウォール」と呼ばれる大きなサイズのものまでさまざまです。こうした大きな引き戸なら、まるで壁が移動するかのように空間を間仕切ることができます。また引き戸の素材も、木製のものや紙張りのもの、ポリカーボネート板などの透過性のあるものなどがあります。しっかりと仕切りたい場合は木製の引き戸、視線や光を通したいなら透過性のある素材にするなど、素材をしっかりと選ぶことで、さらに暮らしの質が向上するはずです。
建築家による可変性住宅の事例
建築家がさまざまな工夫を凝らしデザインをした、可変性住宅の事例をラインナップしてお届けします。
-
下井草nh
- 関東
- 東海
- 関西
- 九州
こだわりポイント
リビングと子供室に繋がる図書スペースを設け、子供たちが自然と本に触れるようにしています。
キッチンには大容量の壁面収納、奥様専用のデスクがあり部屋全体がが見渡せます。効率的な家事動線、シューズクローク、ロフト、クロゼット等収納量が豊富です。無垢フローリング、珪藻土塗、和紙、など自然素材を使用。カウンターアローファンにより家全体に空気の流れを作り室温をできるだけ一定に保っています。 -
home KZ
- 関東
- 東海
- 関西
- 九州
こだわりポイント
リビング・ダイニングを真ん中に挟んで北側にはエントランスと水廻りを南側には寝室や子供室などの個室群をシンプルに配置しました。
また、リビングと子供室は4枚の木製ガラス引戸で仕切ることで、子どもさんが小さい時、青年になった時、そして独立された時、多様なシチュエーションにフレキシブルな対応ができるように計画しました。
完成してから長くつきあっていく住まい。小さなお子さんがよく飛び回る時期は子ども部屋をなるべく広く使い、将来個室に区切れるようにしました。長期優良住宅であることもあり、構造計算によって木材のたわみにも十分考慮しています。内装の無垢の木はオイルを塗り直せば又きれいに、古くなっても味わいが増していきます。