建築家だからここまでできた!
戸建住宅の種類は一般的に、建物の骨組みである「構造体」が何でつくられているかによって分類されており、構造体を木でつくる場合は「木造」、鉄でつくる場合は「鉄骨造」、コンクリートでつくる場合は「RC造」と呼ばれます。それぞれに異なる特徴がありますが、住宅として最も多いのはやはり木造住宅です。そこで今回は、木造とそれ以外の構造との違いを踏まえながら、木造住宅の魅力について紹介していきましょう。
知っているようで知らない!?3構造の違い
一般的に、木造は住宅向け、鉄骨造は店舗やビル、RC造は住宅や集合住宅というように、規模や用途によって構造が使い分けられています。戸建住宅にはこれら3つの構造すべてが採用できますが、マイホームを建てる際、どの構造を選ぶかは、さまざまな要素を総合的に判断して決められます。 たとえば住宅に店舗や集合住宅を併設する場合、その構造上の特性から鉄骨造とするのが一般的です。そのほか、中小規模の集合住宅や、戸建住宅でもコンクリートの質感を強調して高級感を演出したい、という場合はRC造となることもあります。 しかし、先述したとおり、こうした特殊なケースを除けば、戸建住宅のほとんどは木造で建てられています。では、なぜ木造住宅が多く選ばれているのでしょうか?
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コスト面で考えれば「木造」の圧勝!
まずは構造別の坪単価で3つの構造を比較してみましょう。一般的には、木造が50~70万円、鉄骨造が70~85万円、RC造が80~100万円程度と言われています。木と、鉄と、コンクリート──。骨組みに使われる材料が異なれば、当然、建設費も異なります。建物の形や規模、材料の市場価格による変動はあるものの、一般的に材料費は、木材(木造)>鉄(鉄骨造)>コンクリート(RC造)という順に上がっていきます。また、工事をする職人の種類(工種)や、着工から引き渡しまでの工期の長さもこれと同じ順序となるのが一般的。こうした違いが、最終的な建設費として表れてくるのです。 ただしこうしたコストの違いは、見た目にも表れてきます。木造は木の
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「木造は地震に弱い」は過去の話!?
地震大国とも言われる日本では、マイホームの耐震性能を重視するという人も多いことでしょう。一般的に「木造は地震に弱い」というイメージが定着していますが、それは正しいとは言えません。少なくとも現在新築されている木造住宅は、新たな耐震基準に準拠しており、必要十分な耐震性能を持っているのです。 また、近年相次いだ地震の影響を受け、建材メーカーはさまざまな商品開発を進め、現在では性能の高い商品が木造住宅にたくさん採り入れられています。例えば、木材と木材をつなぐ構造用金物や、柱の間に取り付ける制震ダンパーなどがそれに当たります。こうした商品が、木造住宅の耐震性能をさらに高めてくれるのです。 ハウスメーカーの建て売り住宅ももちろん高性能なものが多いものの、製品の選択の自由度は高くはありません。その点、建築家との家づくりなら、どこに重点を置き、どのような製品を採用したいのかといった要望を柔軟に取り入れてくれます。デザインや間取りの自由度が高く、高性能なマイホームを手に入れるなら、やはり建築家住宅が一歩リードしていると言えるでしょう。
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自然素材の特性を生かした快適な暮らし
最後に、木造とその他の構造の最も大きな違いに触れておきましょう。それは、木材が「自然素材」であるという点です。これは、鉄やコンクリートにはない素晴らしい長所と言えます。木は鉄やコンクリートよりも断熱性能が高いことに加え、木材には調湿効果があるので、室内の湿気をコントロールしてくれます。 また、梁や柱などの構造体を室内に見せるといったデザイン手法は、木造では非常に有効な手段となります。木材が持つ質感や温かな色味は、住む人に落ち着きを与えてくれます。壁や天井にこうした木材を見えるようにすることで、木造住宅ならではの魅力を存分に享受できることでしょう。 どの部分に、どのように木材を見せるのか、また、どのような木を選択するのか──。こういった点は、やはりプロの意見を参考にしたいところ。住宅設計を専門とする建築家は、木の種類にも精通しています。ぜひ自分の希望を伝え、木造ならではの豊かな暮らしを手に入れましょう。
建築家による木造住宅の事例
建築家がさまざまな工夫を凝らしデザインをした、木造住宅の事例をラインナップしてお届けします。
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Shimokitazawa House
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関町の2世帯住宅
- 関東
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こだわりポイント
親世帯と子世帯、お互いの床レベルは半層ずれているため視線が交わることはないが、庭木越しに光がこぼれ、リビングの雰囲気を伝える。親世帯の廊下とそれに沿って二棟に挟まれた中庭は、子世帯の屋内からはほとんど見えることはないが、樹木や壁に映る照明やブラインドの影で人の動きのあることが分かる。
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狭小地のバリアフリーローコストハウス
- 関東
- 東海
- 関西
- 九州
こだわりポイント
43条但し書き通路の許認可から始まり、狭小地での住まいの建替え計画。冬暖かく夏涼しい住まいを1000万台で実現させた。
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富塚の屋
- 関東
- 東海
- 関西
- 九州
こだわりポイント
木のぬくもりを感じる家とは何か。木造の小梁などが顔を出す天井、柱や壁に木の肌合いを出す表現など、一般的ですが、本設計では必ずしもそうではなく必要に応じて木の肌合いを部屋の一部に表現するデザインになっています。特に音楽練習室などにこの表現が採用され又収納部の中はすべて白木で作られています。隠れた手の障るところにぬくもりを感じる手法もある例といえるかと思います。 お施主様は木のタッチを中心にデザインするのではなくどちらかというとすっきりした空間を要望されました。しかし室内の雰囲気は暖かい空間を要望されておりました。
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刈谷の家
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注文住宅【一宮の家】
- 関東
- 東海
- 関西
- 九州
こだわりポイント
内装材が自然素材と言うことで室内環境にも注視。そこで外部環境の影響を受けにくい次世代省エネ住宅(気密住宅)をご提案。全サッシLow-Eペアガラス、断熱材は現場発泡吹付(空気を微細な泡状に固めたもの)で部材間のすき間を無くしています。気流がほぼ発生しないため、淀んだ空気を新鮮な空気と交換する機械強制換気システムを採用。ただ換気目的だけではなく熱交換タイプ全館空調式になっています。
経済的に余裕のある生活を送るという要望から、1階には賃貸住戸を2つ設け、2,3階に施主住戸を設置する計画としました。玄関アプローチを共用とすることで人が集まり、コミニケーションが生まれ、活気あふれる元気な家になれるのではないか・・・そんな想いを込め設計しました。また、施主住戸の2,3階にはトップライトの有る「吹抜け」を配置。明るく上下をつなぐ計画としています。 各階が分断されがちな3階建てですが、人が集まり、縦空間を吹抜けにより繋ぐことで、人同士が平たく触合う、豊かな住まいとなっております。